清流苑の小集団活動 ![]()
「納豆だって選ばせて」
栄養士 佐藤 淳子
はじめに
以前の私は、秋田では“お年寄り=ひきわり納豆”と先入観で朝食にひきわり納豆(超きざみ納豆、納豆の嫌いな利用者やワーファリン錠の薬を飲んでいる利用者には納豆代替食)を副菜の一品として、お粥食の方にも提供しておりました。
清流苑のオープンにあたり
@特別養護老人ホームでも納豆を粒、ひきわりといずれか選択できることが納豆好きのお年寄りに対して選択の自由を提供することになるのではないだろうか。
A納豆を食べたい時にいつでも食べられることができ、しかも、粒、ひきわり、味付けまで選べるとしたら、今日はどっちの納豆を食べようかと考えることで『食べる人』である利用者自身、食事への楽しみや食べる喜びにつながるのではないか。
B好みでない納豆を残したらもったいない、子供の頃から親、祖父母より教えられた教訓に背くのではと、呵責を感じているのではないか。
C納豆を食べたい人だけ食べることで、納豆の残滓や不必要なゴミの生産を減量できれば調理員の業務改善、軽減に寄与できるのでは。
開苑以来、利用者おひとりずつに対応できにくい集団給食の欠点を克服できるよう納豆の選択の自由を毎日、毎食実施しております。
これまでの取り組み
【一般的な特別養護老人ホームの納豆の対応】
@カップ納豆はひきわりで、ほとんどの施設で朝食に提供するので、前日に蓋を開けラップして冷蔵庫で保管している。
A蓋を開けた納豆に、葱、とんぶり他を盛る。
B食事時、一部介助、全面介助の利用者は、介護士が醤油で味つけをし、ご飯(お粥)にかき混ぜてもらい食事をする。
C食べなかった利用者の分は、残飯となりカップもゴミとして捨てられる。
これが特養の一般的な納豆の提供状況ではないでしょうか。
【疑問点】
@今日は、ひきわり納豆ではなく、粒納豆を食べたいという要望に対応できるのか。
A今朝の納豆は塩味で、又は砂糖で食べようか、選べず醤油をかけてだけ、食べるものなのだろうか。
B納豆を食べないかもしれないのに、全ての蓋を開け葱、とんぶり他を盛って配膳する必要があるのか。
C納豆は週何回、月何回と決まっているのだろうか、納豆さえあればご飯が食べられ、食が進み、健康が保てると思っている利用者が多いのではないだろうか。また、今日はたべたくないという日もあるのでは。
D「納豆が嫌い」「葱が嫌い」「死んでも食べたくない」といっている人が、特養に入ったら食べられるようになったいう話はあるが、本当に喜んで食べているのだろうか。
【解決するためには】
当施設では、バイキング形式で提供する事で解決できるのではと考えました。
【バイキング形式の理由と効果について】
@食べたい時にいつでも選べて、食卓についてから自分で又は、介護士が蓋を開けてくれるので新鮮であり、味も砂糖、塩、醤油、味噌、納豆のたれなどお好みしだいです。
A葱のトッピングも選ぶこともできます。
B全ての納豆の蓋を開けていないため、納豆特有の臭いをまき散らす事もない。
C納豆を選ぶのも自分しだいなので残す事の自責感が生じる事もない。
D食べない人は選ばないので残滓がなく、カップというゴミもその分出ないで済む。
E蓋を開け、一つ一つ皿にのせ等の手間が省け、その分調理員は他の料理に手がかけられる。
ある日の献立
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献 立 |
1食当たりの食品数 |
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朝食 |
ご飯 お粥 トースト(マーガリン・ジャム類) おにぎり 味噌汁 めざし・ますの塩焼き オムレツ おひたし 大根おろし 納豆(粒・ひきわり) 五目ひじきの炒り煮(大豆は畑より) 果物(いちご・バナナ)梅干し ふりかけ 牛乳 ヤクルト りんごジュース |
33品目
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昼食 |
ご飯 お粥 おにぎり 味噌汁 栗米湯(スープ) 八宝菜 鮭の南部焼き あじのカレームニエル カリフラワーの和え物 フルーツのアロエ入りヨーグルト和え バンサンスー しそこんぶ 納豆(粒・ひきわり) きゅうりの鉄砲漬け |
37品目 |
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夕食 |
ご飯 お粥 おにぎり 麺類 稲庭うどん汁 赤魚の粕漬け焼き おひょうの天ぷら 肉じゃが アスパラのおひたし 大根おろし ピーナッツ和え もずくの酢醤油かけ たくあん漬け しその実漬け 納豆(粒・ひきわり) 《晩酌》 ビール 冷酒 梅酒 ワイン(赤・白) |
27品目 |
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合 計 |
(重複あり) 97品目 |
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厚生労働省の『健康づくりのための食生活指針』では、1日30品目を目標に食事を心がけるよう唱えておりますが、当施設では、この日の使用した食品は、97品目中85品目を提供し、選択制を高めバラエティに富んだ食事として365日バイキング形式で提供しております。
一日の納豆接収状況
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摂 取 状 況 |
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朝 食 |
粒 2〜8名 ひきわり 22〜32名 |
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昼 食 |
粒 0名 ひきわり 1名 |
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夕 食 |
粒 0名 ひきわり 1名 |
まとめ
「納豆が選べるの?」「いつでも食べれるの?」を楽しい食事の原点ととらえ、見直していくことが必要と考え、ただ食べさせればいい、栄養があればいいではなく、食事の出し方にもいろいろと工夫して選択の自由、食べる喜びを大切に給食係一同、楽しい食事をめざして努力してまいりたいと思います。
以上
東北ブロック福祉施設研究会にて・・・(奨励賞受賞)